今回は、家庭用薬品や虫除け製品で有名なアース製薬株式会社について、有価証券報告書をザクっと読み解いていきたいと思います。
売上高は2023年12月期で1,583億円、時価総額は、2024年6月現在で約1千億円。
アース製薬といえば、ゴキブリ駆除剤の「ゴキブリホイホイ」「ゴキジェットプロ」や、虫除けスプレーの「アースノーマット」が有名ですね。
確かに、夏になると必ずお世話になる製品ですね。他にはどんな製品があるのでしょうか?
虫除け製品以外にも、入浴剤やオーラルケア用品、消臭芳香剤、衛生用品など多岐にわたる製品を取り扱っています。
ゴキブリほいほいの開発ストーリーが公開されてますね。
会社を救う起死回生の製品だったんですね。
今回みていくアース製薬株式会社の有価証券報告書はこちらから。
事業内容について
アース製薬の公式サイトおよび有価証券報告書から、【事業の内容】を見てみましょう。主な事業内容は次の通りです。
- 虫ケア用品(殺虫剤・防虫剤)・・「アースノーマット」や「ゴキジェットプロ」、「サラテクト」など、虫ケア製品のトップメーカーです。
- 入浴剤・・「バスロマン」や「温泡」、「湯めぐり」などの入浴剤を提供しています。
- オーラルケア用品・・「モンダミン」シリーズは、むし歯予防や口臭予防など、幅広い用途に対応しています。
- 消臭芳香剤・・「スッキーリ!Sukki-ri!」や「セボンタンクにおくだけ」など、多彩な香りと機能を展開しています。
- お掃除用品・・「らくハピ お風呂カビーヌ」や「らくハピ エアコン洗浄スプレー Nextplus」などの洗浄剤を提供しています。
- 衛生用品・・「アレルブロック」シリーズや「アース シラミとりシャンプーα」などの衛生用品を提供しています。
- 園芸用品・・「アースガーデン」ブランドで、殺虫殺菌剤や除草剤を提供しています。
主力はやはり虫ケア用品ですね。基本的な製品群は『家庭用品事業』、食品や医薬品は『総合環境衛生事業』と分類されていて、『家庭用品事業』が大半だね。
モンダミンもアース製薬だったんですね。あんまりイメージがなかったです
殺虫剤のメーカーというイメージが強いから、オーラルケアについてはブランド名を強く押し出して、会社名は大きく見せないようにしているのでしょうね
そういうことですか~。まさにマーケティング戦略ですね!
業績について
大部分を占めている家庭用品事業の内訳をみてみます
家庭用品事業の中でも虫ケア用品が半分!
しかもまだ売上が伸びてますね。
セグメント・・・各社の営む事業領域のようなもの。有価証券報告書ではセグメント別の業績を記載する必要があり、どの事業が成長しているかなどを把握することができます。
特に夏場の需要が高いことがわかります。毎年夏場でどれだけ稼げるかが重要だね。
会社も事業上のリスクとして開示しています。
(1) 業績の季節性家庭用品事業の主力である虫ケア用品の需要期は主として毎年4月~8月の約5ヵ月であり、例年、年間の市場販売額のおよそ8割がこの期間に集中するため、家庭用品事業の売上高もこの期間に占める割合が高くなります。虫ケア用品は、需要期を控えた3月から製品の出荷が始まり7月頃にはそのピークを迎え、その後12月にかけて取引先からの返品が生じます。このため、当社グループの業績については、第3四半期(1月~9月)までに収益が集中する一方、第4四半期(10月~12月)の収益は低下します。また、虫ケア用品は季節性が高く、当該期の天候等の影響で市場規模が収縮した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
事業等のリスクより
去年はカメムシの大量発生してます・・売上増の要因なのかも
実際、一つの要因だろうね
年収、平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
グループ全体で従業員が4,800名、うち本社(提出会社)は1,300名だから、5人に2人くらいが本社所属ですね。
気になる給与ですが、660万円は結構高いですね。
平均勤続年数も13年も長い気がします。
そうですね。安定した企業ということが伺えます。従業員の定着率も高いと言えますね。
働きやすさ
最後に、働きやすさの指標についてみてみましょう。
上場会社は有価証券報告書に
・管理職に占める女性労働者の割合
・男性労働者の育児休業取得率
・労働者の男女の賃金の差異 などを記載する義務があります。(2023/3期より義務化)
管理職における女性比率の実績が11.4%は、多い方ですよね。
なお、女性管理職比率は2023年に10%以上、2026年に18%以上、2030年には30%以上を目標に掲げています。
多様な人財の活躍を支える職場の実現|アース製薬企業情報 (earth.jp)
こうやって目標を開示した以上、経営者は達成するために様々な施策を実施するのが通常です。目標達成しないと、株主からの評価が下がりますからね。
あと6年ほどで3倍にするわけだから、どんどん女性管理職が増えていくでしょうね。
有給取得率は70%を超えているんですね~
これは結構大事かも・・
終わりに
アース製薬は、虫ケア用品や家庭用薬品で知られ、多くの人々に親しまれています。
ホイホイというワードだけで連想できるほど、日本の文化の一部になっていますね。
温暖化で、虫ケアはさらに伸びる可能性もあります
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
日進月歩。
アース製薬は実は創業は早く、1892年に木村秀蔵氏が大阪(難波)で創業したのが起源。当初は炭酸マグネシウムを作っていました。
ゴキブリホイホイ以外にも、バスロマンやモンダミンなど、ヒット商品を定期的に送り出しています。
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