今回は、日本を代表する会社の一つであるトヨタ自動車について 有価証券報告書 から読み取れる情報を書いていきたいと思います。
時価総額 は、2022年9月現在で32兆円、売上も31兆円という国家予算なみの数字となっています。日本国内で比較対象となりうるメーカーはないといってよいでしょう。
では早速みていきましょう。
有価証券報告書は EDINET や、各社のHPから見ることができます。
トヨタの有価証券報告書はこちら。
事業内容は?
有価証券報告書から、【事業の内容】をみると、「自動車」「金融」「その他」の区分に分かれていることがわかります。
「自動車」については想像通りかと思いますが、「金融」についてはイメージにないという方もあるかもしれませんが、トヨタファイナンス㈱が提供する自動車ローン、カード事業等と思われます。
では数字をみてみましょう。ここでは セグメント情報 を見ていきます。
営業収益(つまりは売上です。)の構成をみると約90%を自動車セグメントが創出しています。
また「その他」セグメントについては多種多様な事業をひとくくりに表示されていますが、半分がグループ内での売上だということから、シェアードサービス的な事業も多く含まれると思われます。
金融セグメントも、自動車ローンをはじめとするファインナンス事業が中心であることを考えると、やはり自動車セグメントの成長が最も重要と言えそうです。
どこで作って、どこで売ってるの?
では自動車セグメントについて少し深くみてみましょう。まずは販売実績です。
北米が稼ぎ頭という話はよく報道でも目にしますが、これをみると日本以上の販売台数となっており、欧州の倍、売っていることがわかります。
次に生産実績をみてみましょう。
海外生産シフトが進んでいるとはいえ、約半分は日本で生産していることがわかります。もちろん現在のサプライチェーンのグローバル化は言わずもがなですので、すべてを日本で生産するなど不可能ですが、少なくとも完成車の組み立ては日本の工場で行っていることが見て取れます。
販売実績の海外比率、生産実績の日本比率を考えると、現在の円安はプラスに働くのは明らかですね。
年収や平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
トヨタ自動車本体の従業員数は親会社単体で約7万人(グループでは37万人)と多くの雇用を創出しています。平均勤続年数も16.4年となっており、長い印象です。定年まで勤めあげる方も多いのではと思われます。
なお、年収で有名なのはキーエンスです。
キーエンスってどんな会社?業績は?年収や勤続年数は?将来性やリスクは?
事業のリスクは?
最後に、トヨタが考える事業のリスクについてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
トヨタでは、4つの分類で計16個のリスクが記載されています。
その中でもトレンドとしては「気候変動及び低炭素経済への移行」でしょうか。
テスラをはじめ、電気自動車の新規参入が今後も続いていくものと思われます。内燃機関を要しない電気自動車への参入障壁はガソリンエンジン車よりも低く、またクルマのデジタル化・IoTについては、いわゆるクルマメーカーよりも、デジタル技術やコンテンツを要するプラットフォーマーがリードする可能性もあります。
電動化についてはフルラインナップで目指すことを公表していますが、裾野の広い自動車産業において多くの下請けを抱えるなかで、世の中のニーズに合わせた製品を適時にリリースしていけるかは大きな課題でしょう。
終わりに
世界で愛されるトヨタですが、自動車産業の100年に一度の大変革期ととらえています。
クルマメーカーの枠にとどまらず、我々の生活を変えるような製品・サービスで日本経済をけん引してもらいたいですね。
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
ではまた次回お会いしましょう。日進月歩。