今回は、日本を代表する木材商社、建築メーカーである住友林業株式会社について有価証券報告書をザクっと読み解いていきたいと思います。
時価総額は、2023年6月現在で6千6百億円。木材を生かした「住友林業の木の家」はCMでも有名ですよね。
後でも出てきますが、売上や利益規模からすると、時価総額は低いという印象ですね。
CMでのおしゃれで広い木のおうちは憧れますよね!
住友林業の家は、高級住宅ですから、なかなか簡単に手は出ません・・
ただ品質は折り紙付きでしょう。
今回みていく住友林業株式会社の有価証券報告書はこちらから。
事業内容について
有価証券報告書(2022年12月期)から、【事業の内容】は、住宅事業、木材・建材事業、海外事業、その他事業の4つの事業セグメントを展開しています。
住宅・建築事業:注文住宅や分譲住宅の販売やリフォームなど
木材建材事業:国内外の森林資源の開発や木材製品の製造・販売など
海外住宅・不動産事業:オーストラリアや北米などで住宅や建築物の建設や不動産開発など
資源環境事業:バイオマス発電事業など
その他:老人ホームの運営事業など
割とイメージしやすい事業内容ですね。バイオマスは廃材などを用いた発電事業化と思います。
確かにわかりやすいかも。
木を育てて売るのと、家の製造販売ですね。
事業系統図で見ても、細かいように見えて、わかりやすい商流ですね。
この規模の会社にしては非常にシンプルといっていいと思います。
事業系統図・・・有価証券報告書では企業グループの商流が図として記載されています。ここで大まかな商流とグループ会社の機能を理解することができます。
業績について
規模が大きいので セグメント でそれぞれの規模感をみればいいですね~
売上が1兆6千億円、海外が売上の半分を占めてますね。利益は8割ほどが海外事業から出てます!。なんだか意外でした。
国内の住宅建設は売上の割に儲からないんですね~。やはり日本の消費者は厳しいということですか・・!
損益計算書(P/L ぴーえる)・・会社の売上、売上原価、販売費、一般管理費、その他の臨時的な損失や収入が記載され、その期の最終的な利益が計算される会社の成績表です。有価証券報告書で最も重要な情報の一つです。
確かに海外比率が高いのは驚きでした。
特に米国の利益貢献が大きいみたいだね。
やっぱり米国は消費が旺盛なんですね・・日本人が慎重なのかもしれませんが・・
クルマも住宅も欲しいものは買う!潔さを感じますね。
年収、平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
2万1千人の従業員、うち本社が5千人だから、4分の3が子会社勤務なんですね。
でも意外と海外事業部は人が少ないですね。
それも海外事業の利益体質の一因なんだろうね。
気になる給与ですが、高水準で素晴らしいですね。
平均年齢が高めなので、若手が相対的に少ないのかもしれませんが・・
住宅は景気動向や金利の影響を大きく受けるから、米国の景気持ち直しの動向が、業績アップに貢献して、給与も上昇という好循環なのかもしれないね。時系列でみてみたらいいかもしれない。気になる方はぜひ。
なるほど。そういう見方もあるんですね~
事業等のリスクについて
最後に、住友林業の「事業のリスク」についてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
住友林業では、計12個のリスクが記載されています。
やはり目に留まるのは、「国内外の住宅・不動産市場の動向に関するリスク」でしょうか。
(1)国内外の住宅・不動産市場の動向に関するリスク
当社グループの業績は、国内外における住宅・不動産市場の動向に大きく依存しております。
国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化、インフレ圧力の増大、及び個人消費の落ち込みは、お客様の住宅・不動産購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動、木材等の資材価格の変動による建築コストの変動等も、お客様の住宅・不動産購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅・不動産市況やコスト構造を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
有価証券報告書 事業等のリスクより
家を買うのは大きな買い物だから、状況次第で大きく状況が変わっちゃうってことですね。
企業でどうこうできる問題ではないのですが、まさに事業のリスクという感じですね。
終わりに
木の家というコンセプトは今まで木造建築は当たり前だった中、ありそうでなかった気がしますが、住友林業はそのイメージを定着させましたね。
いつかは住友林業の木の家に住んでみたいものです。
夢を持って頑張りましょう!!
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
日進月歩。
住友林業の歴史は、300年以上前の別子銅山開坑に始まります。1691年、住友家は江戸幕府の許可を得て、愛媛県にあった鉱脈の採掘を開始しました。その際、周辺の山林の立木を利用して銅山の施設や道具を作りました。これが住友林業の原点となります。戦後は財閥解体により6社に分割されましたが、1955年に四国林業と東邦林業が合併して現在の住友林業となりました。
歴史から見る、住友林業 – 会社情報|住友林業 (sfc.jp)