今回は、日本随一のエンターテイメント施設である東京ディズニーランドを擁するオリエンタルランド㈱について有価証券報告書から読み取れる情報を書いていきたいと思います。
時価総額は、2022年9月現在で6兆円、売上がコロナ前の2019年3月期で5,000億円、経常利益で1,200億円ほどであったことを考えると、株価としては非常に高く評価されているといってよいでしょう。
コロナウィルスによる影響を大きく受ける業種のため、足元の利益はしぼんでいることもあり、2022年度の会社予想PERでは180倍となっています。日経平均のPERが10~20倍程度であることを考えると非常に高い水準です。
株主優待の年間パスに魅力を感じて保有している固定株主も多そうですね。
オリエンタルランドの有価証券報告書はこちらから。
PERとは?・・・「Price Earnings Ratio」の略で、「株価収益率」のこと。
PER=株価÷1株当たり利益 で計算される。
なお、日本の時価総額1位はトヨタ自動車です。
企業分析してみよう! トヨタ自動車㈱【7203】-TOYOTA- (事業内容/業績/給与/リスクなど)
事業内容は?
有価証券報告書から、【事業の内容】をみると、「テーマパーク」「ホテル」「その他」の区分に分かれていることがわかります。
事業内容は予想通りですね。
では数字をみてみましょう。ここではセグメント情報を見ていきます。
売上高の構成をみると約80%がテーマパーク、15%をホテル、その他が周辺事業となっており、ほぼすべてをディズニーリゾートで創出しています。
コロナ前の売上は2022年3月期の約2倍だったのですが、構成比は大きく変わっていないようです。
アトラクション・ショーは入場料収入と思われますが、商品・飲食でも大きな売上を稼いでいるのがわかります。
昭和58年に東京ディズニーランドを開業して以来、トップを走り続けているのはディズニーのブランド力と、ファンを飽きさせないブランディングの上手さがありそうです。
一つ興味深いのは、2022/3期から減価償却方法を変更しています。
この変更で、テーマパーク事業で60億円の営業利益が上振れています。テーマパーク事業のセグメント利益は25億円ですから、この変更がなければ赤字であったということですね。
経理や、監査法人の苦労が透けてみえます・・・
合理的な理由がなければ減価償却方法の変更は認められません。
減価償却・・・固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上すること。
なお、千葉浦安の開発にあたっては三井不動産が協力しているようです。
企業分析してみよう!三井不動産㈱【8801】-不動産デベロッパー-(事業内容/業績/給与/リスクなど)
設備投資はどれくらい?
テーマパークもホテルも、設備投資が重要な事業ですので、少し深くみてみましょう。有価証券報告書には「主要な設備の状況」が記載されています。
ディズニーランドもディズニーシーも1,500億円以上の固定資産簿価が残っています。新アトラクションなどの新規投資が必要なため、なかなか目減りしないのではと思われます。
設備計画をみると、スペースマウンテンの一新で560億円の投資を計画していますね。(完成が楽しみです)
固定資産簿価は多いほうが財政状態は健全、というわけではありません。固定資産は減価償却によって、将来、費用となるため、売上に見合った投資が重要になります。
ディズニーリゾート運営するための超重要な契約がある
ディズニーランドの経営を行う上で、前提となるのはディズニー本家への版権使用料でしょう。
有価証券報告書の【重要な契約】には次のような記載があります。
“ディズニー・エンタプライゼズ・インクと当社との間で締結した上記契約については、一定料率にしたがって当社がロイヤルティーを支払う契約となっております。”
「一定料率」は開示されていませんが、単体決算の【売上原価明細書】にはロイヤルティーとして154億円が計上されています。前年が91億円ですので、単体の売上を分母とすると、おそらく約6%前後ではないかと思われます。(私見です)
年収や平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
正社員5千人、アルバイト1万3千人と、ディズニーリゾートでいかに多くの方が働いているのかがわかりますね。
なお、年収で有名なのはキーエンスです。
キーエンスってどんな会社?業績は?年収や勤続年数は?将来性やリスクは?
事業のリスクは?
最後に、オリエンタルランドが考える事業のリスクについてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
トヨタでは、2つの分類で計10個のリスクが記載されています。
その中でも目に留まるのは「従業員エンゲージメントの低下」でしょうか。
スタッフさんのホスピタリティが、ディズニーファンを作っているのは間違いありません!
終わりに
日本の競争力のある分野の一つに「観光」は外せないでしょう。これからインバウンドも復活するなかで、日本の文化の発信も組み合わせたリゾート施設は今後伸びるのではないでしょうか。
今後も東京ディズニーリゾートのビジネス拡大には期待したいですね。
当記事が、これから就職・転職を目指す方、投資を考える方の一助になれば幸いです。
(※投資は自己責任が大原則です。)
ではまた次回お会いしましょう。