今回は、食品、特に即席めんメーカー大手である日清食品ホールディングス株式会社について、有価証券報告書をザクっと読み解いていきたいと思います。
日清食品ホールディングスは持株会社で、食品メーカーの日清食品株式会社は、ホールディングス傘下の子会社ですね。
売上は2022年3月期で約6,000億円、時価総額は2022年11月現在で約1兆円、カップヌードルや、どん兵衛、カップ焼きそばUFOなど、有名ブランドを数多く展開しています。
創業者の安藤百福さんについては、NHKの連続テレビ小説にもなりましたね。
カップヌードルはなんと世界100か国以上で食べられています。
朝ドラ、すごくおもしろかったです!
なんでも作ってしまう発明家のような方だったんですよね~
日清のHPで、安藤百福クロニクルが公表されているので、ぜひご覧ください。
今の食文化に対する貢献は大変なものですね。
創業者精神とされている「食足世平(食が足りてこそ世の中が平和になる)」「食創為世(世の中のために食を創造する)」は、人類の最も大きな課題の一つといえるかもしれませんね。
今回みていく日清食品HDの有価証券報告書はこちらから。
事業内容について
有価証券報告書(2022年3月期)から、【事業の内容】をみると、大きく「日清食品」「明星食品」「低温・飲料事業」「菓子事業」「米州地域」「中国地域」「アジア地域」「欧州地域」の区分に分かれていることがわかります。
日清食品・明星食品というブランドと、米州・中国といった地域で、事業セグメントをとらえていることがわかりますね。
菓子事業のイメージがなかったですけど、湖池屋やぼんちはグループ傘下なんですね~
全然知らなかったです。
湖池屋とはもともと資本参加していたようですが、2020年に株を追加取得して連結子会社としていますね。
お互いメリットがあるとなれば、特に上場企業同士であれば資本提携や買収といったこともままあります。
特に食品は競争が厳しいですから、湖池屋からすれば、日清の売る力、マーケティングの力を活かしたい、日清からすれば、菓子事業という新たな事業セグメントを手に入れることができるということで、Win-Winの関係だったのでしょうね。
では セグメント の数字から見ていきましょうか。
セグメント情報に合わせて、収益を分解した情報が開示されていますので、こちらも一緒にみていきます。
日清食品事業が売上の約半分、利益の7割を稼いでいますね~
やっぱりメジャーなブランドを多くかかえてますもんね。
製品・サービス別にみると即席めん及び付随する事業が8割以上を占めていますね。
カップヌードルをはじめとして、グローバルブランドが利益の源泉になっています。
確かにブランド力がすごいですよね。。
CMもすごく特色があって、目を引くものが多いですよね。
今やメーカーでは当たり前となった、ブランドマネージャー制度を1990年から導入しているようです。ブランドごとの”ミニ社長”と表現されていますが、メーカーの花形ポジションですね。
憧れますね~
やっぱりメーカー勤務ならみんな目指すのかな~
もちろん、ブランドマネージャーだけでは良いものは作れませんし、世に送り出すこともできません。調達する人、作る人、運ぶ人、売る人、とそれぞれのポジションがあって初めて強い会社になるといえるでしょう。
どこで作ってるの?工場や拠点は?
海外比率の高い同社ですが、メーカーですので、【設備の状況】で、どこで作っているのかを見てみましょう。
有価証券報告書には【設備の状況】を記載する項目があり主要な拠点、工場がどこにあるか、どのくらいお金をかけているか、どのくらいの人が所属しているかなども開示されています。
稼ぎ頭の即席めんの国内製造拠点は滋賀、静岡、茨城、山口に主力工場がある感じですね~
海外は中国、ブラジル、アメリカの3拠点が主力ですね~。
まさに日本の食卓を支える工場ですね。
日本の国内工場は人員も多くなく、かなり自動化が進んでいそうな様子ですね。
転勤もそれなりにありそうな感じですね。
リモートワークって感じではないですよね。(でもそんなに田舎ではないのかな・・?)
食品メーカーに興味があれば、ぜひこちらもご覧ください。
企業分析してみよう! カゴメ㈱【2811】-KAGOME-(事業内容/業績/給与/リスクなど)
年収、平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
ホールディングス制ですし、本社は管理部門のみのパターンですね。
やっぱり加工食品と低温物流事業所属の方が多いですね~。
平均勤続年数は意外と短め?
平均年齢は若いほうではないかと思います。
また海外事業が成長しているようすですので、食品メーカーで働きたい、海外勤務に興味がある方には選択肢に入るのではないでしょうか。
オーナー企業 ではありますよね。
社長まで上り詰めたい!という方には向かないかもです。(そんな人はあまりいないかな?)
事業等のリスクについて
最後に、日清HDの「事業のリスク」についてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
日清HDでは、計17個のリスクが記載されています。
ここでは「ブランド価値毀損」リスクとそれに対する「対応策」をみてみましょう。
「ブランド価値毀損」のリスク
「チキンラーメン」「カップヌードル」をはじめとする日本国内における当社の主力製品は、その技術力と商品力により永年に渡りお客様に親しまれてまいりました。しかしながら、即席めん市場では毎年多くの新製品が投入されており、また、今後他社による画期的な技術革新や若年層を中心に価値観の変化が起きることで当社製品のブランド価値を低下させるおそれがあります。そのようなリスクを考慮し、当社の主力製品は、現状維持ではなく常に進化と革新を続け、ニーズの変化への対応や新しい顧客層の取り込みを行い、持続的なブランド価値の向上に努めております。また、海外においてもカップヌードルのグローバルブランディング戦略を中心に主要地域ごとの市場環境や生活者の価値観の違いを捉えたブランド価値を高めるマーケティング活動をしております。
有価証券報告書 事業等のリスクより
歴史ある、強力なブランドを持つがゆえに、それが毀損したときの影響は大きいということですね。。
確かに創業時から続いているブランドがまだ現役で売れているわけですもんね。
改めて、凄すぎます・・
終わりに
今回取り上げた日清HDについては、強力なブランドとマーケティングパワーを持ち、競争力のあるメーカーの一つだと思います。
新規の事業領域の開発も、中長期の計画に入っていますし、チキンラーメンやカップヌードルなどのように、食文化を変えるような新製品を期待したいですね。
味の進化もますます楽しみです!
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
日進月歩。