今回は、家庭用ゲーム機といえば、の任天堂株式会社について有価証券報告書をザクっと読み解いていきたいと思います。
時価総額は、2022年10月現在で7兆9千億円と、言わずと知れたNintendo製品を世界中で販売しており、知名度も抜群です。
今や日本の強みの一つと言われるエンタメ・コンテンツビジネス業界で、確固たる地位を築いていますね。
初代ファミコンで、マリオを買ってもらったのが初めてのゲーム機でした!
スーパーマリオやポケモン、最近ではあつまれ動物の森など、ゲームにとどまらない製品力がありますね。
今回みていく任天堂の有価証券報告書はこちらから。
事業内容は?
有価証券報告書(2022年3月期)から、【事業の内容】はご想像のとおりで、ホームエンターテインメントの分野で娯楽製品の開発、製造および販売とされています。
事業としてはこの1本のため、セグメントに分けた情報は開示されていませんね。
事業系統図をみると、開発、製造、販売の機能で会社が分かれていますね。
当たり前ですが、作るだけでなくしっかり売ることも重要ですよね。
その通りです。どれだけ面白いものを作っても、それを世に送り出さないと評価されようがありません。営業部門は開発・製造部門の仕事の成果を実現する(売上に変える)役割を担っており、とても重要な機能の一つです。
事業系統図・・・有価証券報告書では企業グループの商流が図として記載されています。ここで大まかな商流とグループ会社の機能を理解することができます。
業績・財政状態は?
セグメントが単一なので、ここではシンプルに損益計算書をみればいいですね~
損益計算書(P/L ぴーえる)・・会社の売上、売上原価、販売費、一般管理費、その他の臨時的な損失や収入が記載され、その期の最終的な利益が計算される会社の成績表です。有価証券報告書で最も重要な情報の一つです。
安定してヒット商品を出すということの難しさが、このビジネスの難しいところでしょうか。
おそらく製品開発においても、いかに多くの種を作るか、一つが不発でも次で当てるということが重要なのではないでしょうか。
これだけ稼いでいるので、会社の財政状態をみてみましょう。財政状態は貸借対照表に表現されています。
貸借対照表(B/S びーえす)・・会社の資産、負債、純資産が記載されます。損益計算書がフローの情報(一年間の情報)であるのに対し、貸借対照表はストックの情報(一時点の情報)です。P/L同様、会社の有価証券報告書で最も重要な情報の一つです。
左側が「資産(お金をどう使ったか)」、右側が「負債・純資産(どこからお金を調達したか)」を表しています。
純資産は大きく、「株式発行による調達」と、「過去の利益の累積」で構成されています。
無借金でシンプルなB/Sですね~
現預金が1兆円あります・・・
きれいなB/Sですね。現預金をこれだけ持っていると、通常は投資家から株主還元の要請がでたりするものですが、持続的な成長のためには研究開発、投資が欠かせないため、必要資金ということでしょう。
株主総会での質疑
株主総会というと、業績の話、事業の将来性など硬い質疑が多い印象ですが、任天堂の株主総会では、役員の好きなゲームを知りたいという質疑が話題になりましたね。
質疑の詳細はこちらからどうぞ。
なんだかほっこりする質疑ですね。
社長や専務などが好きなゲームを語れるというのは、きっとよい雰囲気の会社なのかなと思っちゃいますね。
いくつになってもゲームで楽しめるというのは良いですよね。
人生にはそんな余裕が必要な気がします。
年収や平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
7兆円の売上のある会社としては、従業員数は少なく感じますね。
やっぱりコンテンツビジネスでは製造業ほどの工場や人員は必要ないということですね。
半分弱は任天堂本体に所属しているので、ゲーム開発のコアな部分は自社で抱えるということなのでしょうね。
おそらく、世界中からファンが集まってくるのではないでしょうか。私もゲームの会社で働きたい!と思ったことはあります。
なお、年収で有名なのはキーエンスです。
キーエンスってどんな会社?業績は?年収や勤続年数は?将来性やリスクは?
事業のリスクは?
最後に、任天堂の「事業のリスク」についてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
任天堂では、計15個のリスクが記載されています。
固有のものとしては「新製品の開発」「知的財産の保護の限界」に関するリスクでしょうか。
新製品開発は、消費者の嗜好にあった製品を開発できるかということですね。
多額の開発費用と時間を要する一方で、市場はどんどん変化していくため、ヒット商品を出すことの難しさが書かれていますね。
知的財産の保護の限界はどんな内容なんですか?
独自コンテンツは、他社製品との差別化に大きな力を発揮しますが、インターネットが発展した現代においては、違法なコピーやアップロード、不正品への対象を一企業がすべてカバーすることは不可能といえます。
重要な侵害について、モグラたたき的に対処するしかないということですね。
終わりに
マンガやアニメ、ゲームなどのコンテンツビジネスは今や日本を代表する特徴の一つにまでなりました。総理大臣がオリンピックでアピールできるほどに、世界中の誰もが知っているキャラクターを持つ任天堂はそのトップランナーといえるかもしれません。
コロナ禍において、あらためてエンターテインメントの重要性を再確認した方も多いのではないでしょうか。
今後も日本のゲーム業界には期待ですね!!
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
日進月歩。
かるた・トランプの製造販売会社として、京都市に「株式会社丸福」として発足したのがルーツのようです。「任天堂」はその名のとおり、「人事を尽くして天命を待つ」つまり「できる事をすべてやって、あとは天に任せる」が由来と言われています。