今回は、不動産デベロッパーの最大手、三井不動産株式会社について有価証券報告書をザクっと読み解いていきたいと思います。
時価総額は、2022年10月現在で2兆7千億円、街づくりにおいては欠かせない存在といったところでしょうか。
三井財閥の流れをくむ、超大手ですね。
最近では東京ミッドタウン日比谷など、都心部の再開発が目立っていますね。
「三井のすずちゃん」CMもよく見かけます!
今回みていく三井不動産の有価証券報告書はこちらから。
事業内容は?
有価証券報告書(2022年3月期)から、【事業の内容】をみると、「賃貸」「分譲」「マネジメント」「その他」の区分に分かれていることがわかります。ざっくりとしたイメージとしては下記のような感じです。
- 賃貸・・ららぽーと、三井アウトレットパークなど
- 分譲・・マンション(パークシリーズ)など
- マネジメント・・リパーク、リハウスなど
- その他・・三井ガーデンホテル、東京ドームなど
新規投資物件が通期稼働したかどうかが、業績に与える影響も大きいようですね。
規模が大きすぎて、全体像が見えにくいので、数字からブレイクダウンしていきましょう。
セグメントからですね!
セグメント・・・各社の営む事業領域のようなもの。有価証券報告書ではセグメント別の業績を記載する必要があり、どの事業が成長しているかなどを把握することができます。
賃貸・分譲・マネジメントでバランスよく利益が出ていますね。
賃貸は減価償却費が大きく、分譲が小さいのはイメージ通りでわかりやすいですね。
減価償却・・・固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上すること。
「その他」は赤字なんですか。
その他事業にはホテル・リゾート施設を含むので、コロナの影響ですね。
国内外ともに、旅行は自粛、出張はリモートで対応されていますから、一時的なものといえるのではないでしょうか。
どんな物件をもってるの?
不動産投資の会社ですので、少し深くみてみましょう。有価証券報告書には「主要な設備の状況」が記載されています。
イメージとしてほんの一部を抜粋していますが、例えば一番下の東京ミッドタウン日比谷であれば、2千億円以上を投資していることがわかります。
前述のセグメント情報のところに「セグメント資産」という項目がありますが、これはセグメントごとの「総資産」を表しています。つなり賃貸事業で4兆円を超える規模の資産を持つということですね。
・・・スケールが大きすぎて、他と比較するのが難しいですね。
不動産の時価(含み益)について
不動産会社なら見ておきたい注記があるので、見ておきましょう。
これだけの規模の不動産を所有していると、所有する賃貸不動産に含み益や含み損があるかどうかを確認することで、財政状態の良し悪しが変わることもあります。
賃貸等不動産の時価注記・・・有価証券報告書には所有する賃貸不動産(貸手)の時価を記載する項目があります。現在の会計基準では、固定資産は取得原価をベースに貸借対照表に記載がされますが、ここでは、貸借対照表に表れない含み損益が開示されます。
連結貸借対照表計上額が、貸借対照表(B/S)つまりは決算書に記載されている金額です。一方で、「連結会計年度末の時価」は決算日時点の時価を表しています。つまり両者の差額が含み損益になります。
三井不動産の場合は、3兆円の含み益!!があるということです。
すさまじい含み益ですね・・うらやましいです・・。
年収、平均勤続年数は?
有価証券報告書には【従業員の状況】を記載する項目があります。
平均年齢や勤続年数、給与なども開示されています。
平均年齢や勤続年数、給与は親会社の情報のみが開示されています。
グループ会社は含まれていません。
親会社はほとんどが賃貸事業ですね。
分譲とマネジメントは子会社社員ということね。平均給与はさすがの高収入です・・
事業のリスクは?
最後に、三井不動産の「事業のリスク」についてみてみましょう。
有価証券報告書には【事業等のリスク】を記載する項目があります。
三井不動産では、2つの区分で計22個のリスクが記載されています。
固有のものとしては「②市場金利に関するリスク」「⑨資産価値変動」のリスクでしょうか。
日本はずっと超低金利を続けているので、資金調達が必要な不動産業界には有利な状態といえるかもしれませんね。
金利が上がれば、もちろん不動産の運用サイドも値上げされるので、市場の冷え込みという形で影響を受ける可能性はあります。
終わりに
人口減少、都市部への一極集中が叫ばれて久しいですが、そのような中、これからのまちづくりに期待される役割は大きいと言えそうです。
やっぱり最新の施設や建物は魅力的だし、人が集まる場所を作る仕事はやりがいがありそうですね。
当記事が、多くの会社を知る一助になれば幸いです。
日進月歩。
他の三井グループ会社同様、歴史のスタートが”越後屋”にまでさかのぼります。
会社の歴史というより、日本の歴史に近いものがあります。三井不動産の歴史はこちらから。